サイトハウンドについてまじめに考えるブログ
2007.04.05.Thu mata salamata's Saluki

mata salamata'sは74年よりサルーキーのブリード(と一部アフガンハウンドのブリード)を手がけてきた犬舎である。
犬舎オーナー、ウテ・レンナーツ女史とヤコブ・プリビル氏のサルーキーへのこだわりの姿勢はこの犬舎が生み出してきた数多くのチャンピオンに見られる。
この犬舎出身のサルーキーからは州・国内チャンピオンのみにとどまらず、インターナショナルそしてヨーロッパ、80年代から90年代にかけては数頭の世界チャンピオンが生み出されている。
さらにはオーナー自身FCIのスタンダード作成を手がけ、2003年にドルトムントで行われたワールド・ドッグ・ショーにおいてレンナーツ女史はサルーキーのジャッジを務めたと言うのも当然のことかもしれない。

その歴史の一方でこの犬舎はmata salamata's系と呼ばれる系統をつくりあげ、特にmata salamata's Aga Khan(90年世界CH)と Bell S'MBran J.R. Juvenoir(マルチチャンピオン)の仔mata salamata's Jadaan Khanは父親同様に94年の世界CHのタイトルを獲得した後、国内4回国外3回計7回の交配で40頭の仔を残し血統を広げている。
我が家の愛犬ボダイの4代前と5代前にはこのAga KhanとJuvenoirの名があり、mata salamata's系の血を見た目に濃く受け継ぐボダイは森やドッグショーなどで見知らぬサルーキーオーナーから「mata salamata'sの?」と聞かれるほど典型的なmata salamata's系の顔・体つきをしている。
たしかに片手間で繁殖されたサルーキーたちに比べると体格の均整が取れ、穏やかながらも自信に溢れたバランスの良い顔つきをしているのがmata sala mata'sの特徴であると感じる。

          Shahrayar Bodai

mata salamata's自体はホームページを持たないが、ドイツ国内外にこの犬舎の血は多く交流しているためネットを通してボダイの親戚従弟達の姿がいろんな国で見られるのはとても興味深い。
犬の繁殖・血統管理がシステムとして確立されているからこそ、それは可能なのである。

                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

AKC, KC、FCIのサルーキー・スタンダードを比較考察したサイトハウンド協会会報誌の記事でレンナーツ女史はスタンダードを手がける立場としてAKCの「色のバリエーション」の許容の狭さを指摘し、またどのスタンダードも「鼻の色」が黒またはレバー色であるべきでいわゆるバタフライ・ノーズ(鼻の真ん中がレバー色、両脇が黒の二色に分かれている鼻)はスタンダード外であるという。

彼女の主張とは「サルーキーのスタンダードはその犬種の歴史を重視するべきで、スタンダードを元にブリードされるのではなく、サルーキーの本来の姿に基づいてスタンダードが作られるべきである」というものであり、私自身全くの同感である。
サルーキーやスルーギー、アザワクのように歴史の古い犬種にとって1900年代に入って原産国より輸入されたたった数頭のサンプルを見て作られたスタンダードはあまりにも視野が狭く、本来原産国に存在する犬種のバリエーションをカバーしきれていないのが多くの場合であり、その犬種の歴史に敬意と配慮をもたらさなければ全く持って本末転倒である。
こういった経緯からAKCの古びたスタンダードは見直されるべきと女史は言う。

またヨーロッパのドッグショー界ではオーナーハンドラーが当たり前のため、ジャッジはハンドリングのテクニックよりも犬を見る。
そしてジャッジ自体も多くの場合ブリーダーなのが普通である。
自分でサルーキーを手がけ、サルーキーを知り尽くした者たちだけが作る独特の世界であるともいえるだろう。

レンナーツ女史がこの度サルーキークラブ展のジャッジを通して日本のサルーキーと対面し、どのような印象を受けたかいずれ機会があれば尋ねてみたい。




Comment











いつも勉強させて頂いてます。
ウテ・レンナーツさんは4/15沼津で催されるサルーキークラブ展のジャッジをされるんですね。
mata salamata's犬舎は過去においてアメリカのSrinagarの血が濃くはいっている様に思いますが現在はどうなんでしょうか?
日本ではサーシャ犬舎がSrinagarと交流が有るようです。
4月のクラブ展事務局の深井美佐子さんを'94の春に伊豆の大仁町のご自宅に尋ねたことがあります。その時、アフガンを飼っていたが毛玉を作ってしまって止むえず毛を刈ったときの体躯の貧相さにサルーキーに転向した由を伺いました。
またアフガンの吉本さん(今はウイペットに転向)と親交があり欧州のサルーキー情報にも詳しいご様子で、スエーデンのサルーキーの写真を拝見しました。
私がアルフィーを家族に加えられたのはその1年半後でした。ちがう犬舎から。
質問”
犬舎のHPで血統を見ていると近親交配ではないかと疑問に思うことがたびたび有ります。
日本では雑種の人間でさえ3親等以内の結婚が禁じられています。血の濃い純潔種のサルーキー等の犬ではどのくらいが許せる範囲になるのでしょうか?
ご教示をお願いします。


From. アルフィーのボス 2007/04/12 18:35

アルフィーのボスさん、こんにちは!
ものすごく久々の更新で申し訳ないです。(^^;)

ちょうどこのmata sala mata's犬舎が創められた頃同じくして9つのサルーキー犬舎が誕生しました。
これらの犬舎のうち現在も繁殖を行っているのは約半数の5犬舎です。
歴史を辿ってゆくとこれらの犬舎が誕生した頃はイギリスのel Saluk犬舎とel Saraje犬舎の最盛期後半にあたり、多くの場合は原産国またはイギリスからの輸入犬がドイツ産のサルーキーと掛け合わされています。
その後80年代に入ってアメリカとオランダ他欧州諸国からの輸入が盛んになり、輸出元として当時よりブリードに熱意を向けていたSrinagar犬舎をはじめ数犬舎の名前が挙がっています。
たぶんこの辺のいきさつはSirsha犬舎と同じようなのではないかと思います。
現在ではmata sala mata'sに限らずドイツの犬舎はスカンジナビア諸国との交流が盛んになっています。
mata sala mata'sと同じ時期に誕生したMin Ma Sha犬舎はボダイの父方の出身犬舎ですが、この犬舎はイギリスのMabrooka犬舎との交流が多く行われています。

統計的には2004年までにドイツに輸入されたサルーキーの輸出国はイラン(69頭)、オランダ(60頭)、イギリス(52頭)、サウジアラビア(35頭)、アメリカ(24頭)の順に多くこれらは他のどの国よりもダントツに多くのサルーキーの輸入頭数です。
(原産国からの輸入にいたっては第2位のフランスの17頭の約9倍の157頭がドイツにはこれまで輸入されています)
ぺディグリーを辿ってゆくといつしか原産国の名前に行き当たるのが面白いですね。

現在スウェーデンがサルーキーに力を入れているのは確かで、彼らはイギリス、オランダを中心に世界中の「よいサルーキーの血」をこぞって取り入れています。
が、検疫の関係から原産国から直接輸入はまだ2頭程度、原産国からの輸入犬の2代目・3代目をドイツから輸入しているようです。

ヨーロッパでは地続きのため各国の交流が盛んで、輸入頭数はドイツの241頭をはじめオランダ134頭、ベルギー84頭、フランス79頭、スウェーデン87頭、フィンランド103頭...となっています。(2004年までののべ頭数です)

さて、ご質問の近親交配について。
交配(ブリード)の種類には一般の親族外交配のほか、ラインブリード(リスクを弱めた親族内交配)、インブリード(叔父と姪、従妹、祖父と孫など2から4親等内での交配)、そして極近親交配(親子・同胎犬間での交配)があります。
いくら歴史的に血がよく混ざっていると言うサルーキーでもさすがに極近親交配に近い交配をおこなえば劣性遺伝が現れる確立はそれなりに高くなります。
それが特に日本のような遺伝子プールの乏しい状況でのブリードになれば、ドイツの状況に比較して問題はもっと深刻になり、他犬種同様どのような病気が出てもおかしくありません。

ちなみにドイツサイトハウンド協会では極近親交配に関して全て許可制となっており、特別の理由がない限り許可はおりません。
また許可された極近親交配から生まれた犬たちもブリード委員会の観察下におかれ、そのリスクの高さから犬たちは一般の飼い主へは譲渡されないのが普通です。

サルーキーの健全性とは見た目の問題ではなく目に見えないところで起こる問題の有無ですから、スタンダードに沿って強硬なブリードを行うとたとえば性格がものすごく臆病になったりまたは逆に凶暴になったり、はたまた本来原産国ではありえない遺伝病が多く出現するようになったりします。

サルーキーの歴史を見ていてどの犬がショーでよい成績を取ったかは記録されていても、その犬の性格や既往歴についてはブリーダーとオーナーのみが知るところとなっており、一見すれば「近親交配はみんなしてるんだ」と勘違いしがちですが、近親交配の危険性はとても深刻で犬種を滅ぼすと言っても過言ではありません。

いつか日本のサルーキーにもヨーロッパから新しい血が入ってくれることを祈ってます。
From. Kyoko Alscher 2007/04/15 06:55

おひさです。
Sirsha犬舎出身ですが日曜日行ってきました。(謎)
結果は我が家のBLOGにて。(^^;
意外と若い感じの方でしたね。
直前に「犬しか見ないから」とおっしゃってたそうで。
ショー後の懇親会には出ませんでしたが、その中で総評があったようで、参加した方からの情報では、やや不興のご様子だったようです。
多数の犬に、問題が見られたそう。
ゼランは一体どうだったんだろう?
参加した別の友人が、ICレコーダーで録音してくれてると思うので、楽しみでもあり不安でもありってところです。
そうそう、バタフライノーズについては、ご本人の好みではないが、グリズルに多く発生している原因を不思議に思っているそうです。
詳細は直接聞いたわけではありませんので。。。

ゼランはUSAのニュートン女史、SWDのスタールハンスクル女史に続いて、レンナーツ女史にもそれなりに評価されたかなって思うと非常に嬉しいですよ。
サルーキブリーダー以外になかなか評価を頂けないのが、ショーに参加している中で厳しさを感じている部分ですがね。(^^;
今回チャンピオンクラスで評価を頂いた、牡牝それぞれ3頭、プロハン・ブリハンに混じって素人オナハンは我が家のみ。
なーんて自慢だー。(笑)
真っ黒い子もゼランだけですた。
もちろん昨夜は祝杯よん♪

取り急ぎ概要報告と自慢まで。(爆)

TBさせていただきました。
From. サム 2007/04/16 19:40

おおぅ!サムさん、お待ちしていました!
ご報告ありがとうございます。

mata sala mata's犬舎はいわゆる古いタイプの(言い換えれば原産国のサルーキーに近いタイプの)サルーキーをブリードしています。
(ドイツ国内にはこの他数犬舎が同じく古いタイプのサルーキーを中心にブリードしています)
だからアメリカ系の近代サルーキー(全体的に丸みを帯びスタンダードに沿って均一化した=バリエーションの幅の狭いサルーキー)たちをあまり好ましく思っていません。
私も総評をお伺いしたいところですが、その中でゼラン君がしかもオナハンでAOMというのはやはりそれなりに良い評価をされたということでしょう。
私の期待通りでした♪

出来レースが多いといわれるドッグショー界だから、海外ブリードジャッジの評価は本当の意味で犬を見てもらういい機会だと思います。

今回COCO家がゲットされた絵皿の写真はmata sala mata'sのAga Khanですよ。
ちょっとうらやまし。(笑)
いやはや、誕生日の祝杯にしては豪勢なプレゼントをゼラン君はしてくれましたね。

ところでTB出来てます?
私もサムさんとこにTBさせていただこうと思ったら、なぜかNGでした。(^^;)
というわけでみなさん、サムさんのブログへは投稿者名をクリックして飛んでくださいね。

From. Kyoko Alscher 2007/04/17 06:34

Trackback

この記事のトラックバックURL: http://windhund.jugem.jp/trackback/7