サイトハウンドについてまじめに考えるブログ
2009.08.19.Wed スポンサーサイト

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2007.12.14.Fri プロジェクト 「サルーキーの血液検査値統計」

このところサルーキー好きにとって不安な話題が続いた。

しかし本当に不安なのは心疾患や遺伝疾患などの重度の疾患だけではない。
愛犬の日常でのほんの少しの変化にも敏感な飼い主達はその都度動物病院に駆け込み、愛犬の変化の状況を専門家に委ねるのだがそこにもひとつ疑問はあった。
はたして専門家である獣医師がどこまでサルーキーの正常を診て取れるか、である。

最近でこそイタグレやウィペット、ボルゾイにアフガンそしてサルーキーと全国的に頭数を増やしてきたサイトハウンドだが、頭数の増加に反して臨床的データや報告が少なくサイトハウンド経験の少ない現場の臨床獣医は診断を迷ってしまうことがある。
現場の臨床獣医に迷われてはせっかくの診断も意味がなく、ひいては間違った診断のお陰で無意味なだけでなく余計な治療まで導入されては患畜の方はたまったものではない。

そこでこのHound of the Windの読者を通じてまずは健康診断において重要な位置を占める血液検査の正常値についての統計を行うことにした。
他犬種に関心がある方々には申し訳ないがまずはサルーキーに犬種を絞って行うことに。
前記事ですでにアメリカの団体がサルーキーの血液検査正常値について調査をしていると報告したが、アメリカと日本では飼育条件も違うため改めてこの場で日本のサルーキーについて把握しておきたいと思った。
さらには統計結果をアメリカのものと比べてみるのも興味深い。

できるだけ多くのサルーキーの血液検査結果が集まるよう読者の皆さんに深くご協力のほどをお願いするとともに、ご協力いただいた方には当然ながら統計結果をメールにてお知らせし、ご愛犬の健康診断の指標にご利用いただければと考える。
どうぞご近所・お友達にもお声をかけ、できるだけ多くのデータが集まるようにお願い申し上げたい。
(なお血液検査に使用する機器の条件などが異なるため、統計結果は論文発表の対象にはならないことをあらかじめご理解願います)

                 ・・・・・・・・・・・・・・・・

データの新旧に関わらず、ご協力いただける方は以下の項目についてご記入の上kyokoalscherあっとlive.deまでお寄せ願います。
(記入間違いを防ぐためこれより下をコピー&ペーストにてメールにご記入ください)

■ 生年月日・性別: 
■ 血統書名(任意):
■ 食餌内容: 
■ 既往歴: 
■ 血液検査日: 
■ 検査項目と結果

・ 赤血球数(RBC)T/l
・ ヘマトクリット値(Hct)%
・ ヘモグロビン濃度(HGB) g/dl
・ MVC fl
・ MCHC g/dl
・ MCH pg
・ 白血球数(WBC)G/l
・ 血小板数(PLT)G/l

・ ALT IU/l
・ GLDH IU/l
・ 総ビリルビン量 mg/dl
・ 尿素(BUN)mg/dl

■ その他・備考


<ご記入上の注意事項>
・ 年齢・性別などは分類の際に重要な振り分けとなりますので、一般項目についてはできるだけ漏れなく
  ご記入ください。
・ 数頭分の検査結果をお寄せくださる場合には、上記項目を1頭毎にコピー&ペーストしてご記入
  ください。
・ 検査結果の単位が上記と異なる場合にはお手元にある検査結果表に明記してある単位を数値の後に
  記入してください。
・ 現在治療中の怪我や疾患については備考欄にご記入ください。
・ ご不明な点はコメント投稿欄ご利用または上記メールアドレスまでご連絡ください。

※ 統計結果はお寄せいただく数にもよりますが、遅くとも2008年3月には一度結果を出す予定です。
  データの送付に締め切りはありませんので、いつでもお寄せください。
※ お寄せいただいたデータのうち個人情報に関わる部分(血統書名・既往歴など)については公開されま
  せん。

  このプロジェクトの責任管理はすべてKyoko Alscherの手により行われます。



<後日追記>
※ このプロジェクトは現在一時お休みさせていただいています。





2007.06.20.Wed サルーキーの健康と疾患について 2

2004年にドイツ・サイトハウンド・ブリード・アンド・レース協会が会員であるドイツ国内のサルーキー・ブリーダーと飼い主に向けて行ったアンケートがある。
アンケート内容はサルーキーの飼われ方や食餌の内容、運動のさせ方、躾の方法といった一般的なもののほか、特に興味深かったのはこれまで飼ったサルーキーの死因と既往疾患についてであった。

このアンケートによると52件の回答の死因の第一位は事故(7件:うち1件猟師による射殺)、第二位に癌(6件:卵巣癌、乳癌、腰椎癌、扁桃腺癌など)、第三位が心不全(5件:うち2件ほど突然の心臓停止)となっている。
以下、自己免疫病や血行不良(高齢犬)、腎疾患(若い犬)、肝炎が単発で発症、さらに2件ほど麻酔により死亡している。

既往疾患でも第一位は事故による傷害(4件)、続いて第二位が心疾患(3件)、以下アレルギー、呼吸器疾患、甲状腺機能低下症、肝・腎疾患、麻酔の後遺症、糖尿病、子宮膿炎が1−2件づつ報告されている。

このアンケートはあくまでも会員に向けて行われたものだから、会員以外のサルーキーではまた少し違って上位三疾患が入れ替わるかもしれない。
それにしても走っているときには周りのものが目に入らないサルーキーだから、事故ばかりは飼い主の側が充分注意したいものだ。



2007.06.14.Thu サルーキーの健康と疾患について 1

近頃日本でも「サイトハウンドはヘマトクリット値が高い」と言うことが徐々に知られてきたが、
果たしてサイトハウンドはヘマトクリット値だけが高いのだろうか?

一般に言う犬の血液検査の正常値とはあくまでも多くの犬種の検査値をより集めおおよその平均値を取ったものであり、これらが必ずしも歴史が長くかつ希少犬種のサイトハウンド達に当てはまるとは限らない。

犬種としてのサルーキーに傾向的に見られる疾患と診断の際の生理的正常値について調査を続けているアメリカの非営利団体「SALUKI HEALTH RESEACH」がある。
この団体はサルーキーを愛する獣医師達により構成されており、犬の専門家としてそしてサルーキーを知るものとして健全なサルーキーのブリードを目指しとても深い見解を示している。

また団体代表のMaryDeeSist博士は「飼い主自身がサルーキーの健康について知り、サルーキーを知らない獣医師に自ら知らせる必要がある」という。

この団体では現在サルーキーのアメリカ国内での血液検査正常値についての調査を継続して行っているが、論文としての発表を控えているためネット上での公開は行っていないかわりに、個人的に興味のある方のために問い合わせに応じるサービスを行っている。

参考までに以下に我が愛犬ボダイの今年の血液検査の結果を一般の犬の正常値と比較したものを公開する。

■ 名前: Shahrayar Bo'dai
■ 生年月日: 2001年2月18日  出生地: ドイツ
■ 性別: ♂
■ 血液検査: 2007年4月
           犬一般正常値      Bo'dai
 WBC G/l      6 - 12        5,5   L
 RBC T/l     5,5 - 8,5        9,52   H
 HGB g/l     132 - 190       207   H
 HCT %       40 - 55        62,7   H
 MCV fl       60 - 77        66
 MCH pg      21- 27        21,8
 MCHC %      32 - 36        33,1
 PLT G/l      150 - 500      225
 Stab %      0 - 4          16   H
 Seg %       55 - 75        60
 Lym %       13 - 30        18
 Eos %        0 - 6         4
 Mono %       0 - 4         2

この結果を見て他犬種では「低白血球症」だとか、「高赤血球症」だとか、はたまた「高ヘモグロビン血症」だとか診断されるだろう。
しかし、サルーキーではこれらすべて正常なのである。
また血小板数もサルーキーでは少なめであり、全体的に血液検査診断要素のほとんどで他犬種とは異なる特徴を見せる。

さらに団体の調査によると現在アメリカのサルーキーによく見られる疾患として遺伝性または癌からの転移による心疾患や悪性血管内皮腫(=血管肉腫、診断時疾患率3割の可能性!!)が挙げられており、これまでよく言われてきた「遺伝疾患がない犬種」だとか「丈夫な犬種」などと言う話はもうあてはまらないことを示している。

一方でサルーキーの血液検査結果の特徴を知らない獣医師により間違った診断が繰り返されていることも指摘されている。
この間違った診断の代表として「甲状腺機能低下症」がある。

甲状腺機能の診断の際には数種類の甲状腺ホルモンを測定するが、団体の調べでは最も重要な診断要因であるT4がサルーキーでは他犬種よりも低い値を示すのが特徴だそうで、この事実は原産国のサルーキー(デザート・タイプ)でも同じ傾向を示すため、まさに犬種全体の特徴といえる。

しかしこれを知らない獣医師では「T4の低下=甲状腺機能低下症」と診断し、飼い主に治療を薦めることが多い。
(少し考えれば気が付くことなのだが、甲状腺機能低下症は発症するまでの時間が長く、また発症後は体の代謝機能低下のため犬の体は肥満傾向を示し、脱毛や倦怠感などもあわせて観察されるはずなのだ。)
間違った診断の結果、間違って治療をされ、投与された薬の効果によってかえって本当に病気になってしまうケースも少なくない。

最後に別の団体の見解では多くの犬種で遺伝病として問題になっている進行性網膜萎縮症もこの先サルーキーで問題として上がってくるとされていることを付け加えておく。

これらの遺伝病を防ぐ手はただ一つ、モラルと正しい知識による良識的なブリーディングあるのみである。




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